映画『オデュッセイア』とは?ノーラン監督が挑む「物語の原点」 公開前から傑作と評判の理由
2026年9月11日、日本でいよいよ劇場公開される映画『オデュッセイア』。『ダークナイト』『インセプション』『インターステラー』『オッペンハイマー』などで知られるクリストファー・ノーラン監督の最新作です。
題材となるのは、約2800年前から語り継がれてきたホメロスの叙事詩『オデュッセイア』。世界文学の原点ともいわれる英雄物語を、ノーラン監督が映画史上初となる「全編IMAXフィルムカメラ撮影」で映像化しました。(映画『オデュッセイア』公式|9月11日(金)日本公開)
海外では日本に先駆けて公開され、批評家から高い評価を獲得。「今年最高の映画の一本」「ノーランの新たな傑作」といった声が相次いでいます。Rotten Tomatoesでは批評家スコア93%、観客スコア97%を記録。Metacriticでも88点という高得点です。
いったい、どんな映画なのでしょうか。
『オデュッセイア』の基本情報
『オデュッセイア』は、古代ギリシャの詩人ホメロスによる叙事詩を映画化したアクション・アドベンチャー超大作です。
監督・脚本・製作を務めるのはクリストファー・ノーラン。上映時間は172分。日本では2026年9月11日から全国公開されます。
さらに通常公開に先駆け、9月4日から10日まではIMAX先行上映も実施。通常の2Dに加えてIMAX、Dolby Cinema、4DX、MX4D、35mmフィルムなど、複数の形式で上映されます。
「映画館で観るために作られた映画」と言ってよさそうです。
主人公オデュッセウスを演じるのはマット・デイモン
主人公はイタケ王国の王オデュッセウス。演じるのはマット・デイモンです。
オデュッセウスは10年に及ぶトロイア戦争を勝利へ導いた英雄。「トロイの木馬」という奇策を考えた知将として知られています。
ところが戦争が終わっても、彼は故郷へ帰ることができません。
神々の怒りを買い、荒れ狂う海を漂流し、怪物や魔女、誘惑など次々と襲いかかる試練に立ち向かうことになります。
マット・デイモンは役作りのため約6カ月にわたり肉体改造を実施。食事やトレーニングだけでなく、休憩時間に至るまで体づくりを意識して撮影に臨んだと明かしています。
単なる英雄ではなく、戦争を経験し、仲間を失い、それでも妻と息子のもとへ帰ろうとする一人の男。その人間的な苦悩も大きな見どころになっています。
『オデュッセイア』の豪華キャスト
驚かされるのがキャストの顔ぶれです。
主人公オデュッセウスをマット・デイモン、その息子テレマコスをトム・ホランド、妻ペネロペをアン・ハサウェイが演じます。
さらに、
- アンティノオス:ロバート・パティンソン
- 女神アテナ:ゼンデイヤ
- ヘレネ:ルピタ・ニョンゴ
- カリュプソ:シャーリーズ・セロン
- エウマイオス:ジョン・レグイザモ
- シノン:エリオット・ペイジ
- キルケ:サマンサ・モートン
- メネラオス:ジョン・バーンサル
- アガメムノン:ベニー・サフディ
など、主役級の俳優がずらり。
「この俳優まで出ているのか」と驚かされるほどのオールスター映画です。
物語は「10年間帰れなかった男」の壮絶な帰還劇
物語の舞台となるのはトロイア戦争後の古代ギリシャ。
イタケ王オデュッセウスは「トロイの木馬作戦」によって10年続いた戦争を終結へ導きます。
しかし、それからさらに10年。
オデュッセウスは故郷イタケへ戻ってきません。
王妃ペネロペは夫の帰還を待ち続けていますが、王宮には王位とペネロペを狙う男たちが押しかけています。その中心にいるのがロバート・パティンソン演じるアンティノオスです。
一方、息子テレマコスは「父は本当に生きているのか」と、その行方を探し始めます。
そして徐々に明らかになる、オデュッセウスの壮絶な旅。
単眼の巨人キュクロプス、魔女キルケ、海の女神カリュプソ、船乗りを惑わせるセイレーンなど、神話でおなじみの存在が次々に登場します。
剣と盾の戦争映画かと思えば、海洋冒険映画になり、さらに怪物映画、ファンタジー、家族ドラマへと姿を変えていく。
このジャンルを横断するスケール感こそ、本作最大の特徴でしょう。
見どころ①「全部IMAX」で撮った史上初の長編映画
映画ファンにとって最大の注目ポイントは映像です。
『オデュッセイア』は長編映画史上初めて、全編をIMAXフィルムカメラで撮影しました。
撮影監督は『ダンケルク』『TENET テネット』『オッペンハイマー』などでノーラン監督と組んできたホイテ・ヴァン・ホイテマ。
ノーラン監督は16歳の時に初めてIMAX映像を観て衝撃を受け、「いつか劇映画をIMAXで撮りたい」と考えたそうです。『ダークナイト』から長年IMAX撮影を進化させ、ついに本作で「全編IMAX」という長年の夢を実現しました。
海、断崖、洞窟、巨大な船、戦場。
CGだけに頼るのではなく、実際のロケーションや巨大なセットを使って撮影しています。
これはスマートフォンやテレビで観るより、巨大スクリーンで体験したくなる映画です。
見どころ②怪物まで「本当にそこにいる」ように撮影
ノーラン作品といえば、できるだけ現実の物や場所を使って撮影することで知られています。
今回は神話映画なので、当然キュクロプスなど現実には存在しない怪物も登場します。
そこでノーラン監督は、CGだけではなく、パペット、人形機構のアニマトロニクス、俳優の身体表現などを組み合わせました。
キュクロプスの場面では、本物の洞窟を使用して撮影しています。
監督はギレルモ・デル・トロから学んだ考えとして、怪物にも感情や性格を与えることが恐怖のリアリティにつながると説明しています。
「ノーランが怪物を撮る」。
これだけでも映画ファンにはかなり気になるポイントではないでしょうか。
見どころ③本当のテーマは「家に帰ること」
派手な怪物や戦闘が目につきますが、実は物語の根幹はとてもシンプルです。
「家に帰りたい」。
これだけなのです。
ノーラン監督はインタビューで、ギリシャ語には英雄の帰還を意味する「Nostos」という概念があると説明しています。
長い旅をすれば、人は変わります。そして帰る場所もまた、昔のままではありません。
その「帰還」は『インターステラー』『インセプション』『ダークナイト』三部作など、自身がこれまで描いてきた作品にも共通するテーマだったといいます。
つまり『オデュッセイア』は、ノーラン監督にとって突然選んだ古典ではありません。
むしろこれまで自分が描いてきた物語をさかのぼっていくと、その源流に『オデュッセイア』があったというわけです。
ノーラン監督「物語そのものがすでに驚くほど現代的だった」
ノーラン監督らしいのが時間構成です。
『メメント』『インセプション』『ダンケルク』など、時間を自在に組み替えてきた監督ですが、『オデュッセイア』を読んで驚いたといいます。
約2800年前の物語なのに、すでに大胆な非線形構成になっていたからです。
映画ではまず妻ペネロペと息子テレマコス側から「オデュッセウスはどこへ行ったのか」という謎を提示し、そこから彼の過去の旅が明らかになっていきます。
監督は原作の構成を可能な限り尊重しながら、原典を一度も読んだことがない観客でも楽しめる映画を目指したと語っています。
古典文学の予習をしてから行かなくても大丈夫でしょう。
むしろ「オデュッセイアって名前くらいしか知らない」という人ほど、新鮮に楽しめるかもしれません。
本当に傑作なのか?海外では異例の高評価
日本公開前から「傑作」と言われているのには理由があります。
海外では2026年7月17日にすでに公開されており、批評家の評価はかなり高いものになっています。
Rotten Tomatoesでは507件の批評を集計して93%。観客評価も97%。Metacriticでは63件の批評をもとに88点で「Universal Acclaim=普遍的な絶賛」という評価になっています。
海外メディアでは「ノーランの新たな傑作」「今年最高の映画の一本」といった評価が並び、The Guardianなど複数の媒体が最高評価をつけました。
もちろん全員が絶賛しているわけではありません。172分という長さや、ノーランらしい情報量の多さ、非線形の構成をどう受け止めるかで好みは分かれそうです。
それでも「大画面で観る映画」としての評価については、かなり一致しています。
まとめ|これは劇場で観ておきたい映画になりそう
『オデュッセイア』というタイトルだけを見ると、「古代ギリシャ文学?ちょっと難しそう」と感じるかもしれません。
しかし物語の芯は驚くほど分かりやすいものです。
戦争から帰ってこない父。その帰りを待つ妻と息子。そして、何としても家族のもとへ帰ろうとする男。
そこに怪物、魔女、神々、海戦、裏切り、復讐という娯楽映画の要素が一気に押し寄せます。
マット・デイモン、トム・ホランド、アン・ハサウェイ、ロバート・パティンソン、ゼンデイヤら豪華スターを集め、世界最古級の冒険物語を最新の映画技術で映像化する――。
しかも全編IMAX撮影です。
ノーラン監督自身、「観客に届いて初めて映画は完成する」と語っています。
だったら、その完成の瞬間を映画館で体験してみたい。
2026年秋、劇場の大スクリーンで観る一本を選ぶなら、『オデュッセイア』はかなり有力な候補になりそうです。9月11日の全国公開が楽しみですね。

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