2026年大河『豊臣兄弟!』が放送開始。第1話で大きく話題になったのが、主人公・小一郎(のちの豊臣秀長)の幼なじみとして登場した“直(なお)”を演じる白石聖さんだ。。放送前から「代役」報道で注目され、放送後はXでも「演技もビジュも!」といった好意的な反応が目立った。
ただし、この直は史実に名が残る人物ではない。複数の取材記事でも「ドラマのオリジナルキャラクター」と明記されている“創作のヒロイン”だ。
それなのに、初回から視聴者の感情を持っていった。ここが面白い。
直は史実にいない――それでも“必要”だったオリジナルキャラクター

出典:NHK-スポニチSponichiAnnex芸能
直は「尾張中村の土豪の娘」「小一郎と同い年の幼なじみ」「男勝りだが、ひそかに慕っている」「乱世に翻弄される悲劇のヒロイン」と紹介されている。
史実にいない人物を、あえて物語の序盤に大きく置く。これは、戦国の“偉人伝”を、ただの年表ドラマにしないための装置だと考えられる。
主人公・秀長の「原点」を、視聴者が体感できる形にする
戦乱の出来事を“個人の痛み”へ翻訳する(誰かを失う、守れない、待つしかない等)
兄・藤吉郎(秀吉)のスピードに巻き込まれる小一郎の、心の拠り所/ブレーキ役になる
実際、白石さん自身も「直は史実にはないオリジナルキャラクター」と前置きしたうえで、小一郎を形作る“1つのピース”になれたら、と語っている。([シネマトゥデイ])
“史実の穴埋め”というより、“感情の導線”をつくるための存在。直は、その役割を初回からやってのけた。
「代役」以上に強かった、白石聖さんの説得力

出典:WEBザテレビジョン
白石聖さんが注目された背景に、キャスト交代の経緯があったのは事実だ。報道では、永野芽郁さんが出演を辞退し、白石さんが代役として直役を務める形になったと伝えられている。
でも第1話を見終えた時、残るのは「代役がうまく埋めた」ではなく、「直という人物が、もうそこにいた」という感覚だった。
“守られるだけじゃない”芯の強さが、初回で伝わる
白石さんは直を「芯が強く、まっすぐな女性」と捉え、襲撃シーンでもただ怯えるだけではない“潔さ”がある、と語っている。
戦国のヒロインを「か弱さ」だけで描かない。直が“現代の視聴者にも応答できる人物像”になったのは、この設計と白石さんの体現が噛み合ったからだ。
「目で語る」芝居が、時代劇の距離を縮める
白石さんは直を演じるうえで「目からしっかり伝わるお芝居」を意識していると話す。
時代劇の台詞回しや所作には、どうしても様式美の壁がある。そこを超えてくるのが、視線の強さ、間の取り方、まっすぐさ。初回の直は、説明台詞より先に“感情”が届くタイプのヒロインだった。
オリキャラの難しさを、「素」を武器に変えた
オリジナルキャラクターは、史実という“正解”がないぶん迷いやすい。白石さんもその難しさに触れつつ、チーフ演出から「作り込むより、素を活かしてほしい」と言われたことが支えになったと明かしている。([シネマトゥデイ])
結果として直は、「戦国の人」なのに、感情の温度が近い。これが初回での掴みになった。
直がいることで、『豊臣兄弟!』は“兄弟ドラマ”になる
『豊臣兄弟!』は、秀長の目線で戦国を描く作品で、脚本は八津弘幸氏が担当。
兄・藤吉郎の勢いと、弟・小一郎の誠実さ。その対比だけでも進められるが、直が入ると小一郎の「迷い」や「選び直し」が立体になる。
白石さんが言う通り、直は小一郎の“ピース”。
だからこそ、直が笑うシーンも、怒るシーンも、別れを予感させる沈黙も、全部が小一郎の未来に影を落とす。
そして次回予告では、直の縁談が描かれることが示されている。ここで“直という装置”がどう効いてくるかが、序盤の大きな見どころになりそうだ。
まとめ:史実にいないのに、忘れられない――それが強み
直は架空の人物。でも、戦国を生きた名もなき人々の感情を代表する存在として、十分にリアルだ。
「代役」という話題性は入口にすぎず、初回の時点で白石聖は“直という人間”をこちらの心に定着させた。次回、縁談の展開が入った時、その定着がどんな痛み(あるいは希望)として効いてくるのか――ここからが本番だね。

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