「最近、あの旅館って外国資本になったらしいよ」
そんな噂が、全国の観光地や温泉街で“珍しくない話”になってきました。円安とインバウンド回復を追い風に、国内外の投資マネーがホテル・旅館へ向かい、地方の宿も売買の対象になっています。ホテル投資額は、CBREの集計で2024年に大きく積み上がったと報じられていますね。
この記事では、具体例として 静岡・伊豆「修善寺温泉 ホテル滝亭」 と 山梨・石和温泉 を軸に、「なぜ買われるのか」「何が変わるのか」「今後は増えるのか」を整理します。
「外国企業に買われるホテル・旅館」──温泉地でいま起きていること
円安とインバウンド回復を追い風に、地方のホテル・旅館が「投資対象」として一気に脚光を浴びています。いま全国の温泉地で起きているのは、単なる“所有者の入れ替わり”ではありません。
送客(集客導線)・運営ノウハウ・改装投資を一体で持ち込める買い手が、宿の再生を進め、温泉街の姿そのものを変えつつあります。
象徴的なのが、静岡・伊豆の **修善寺温泉「ホテル滝亭」**、そして山梨の **石和温泉**。両者の動きは、「今後さらに増える」流れを理解するうえで分かりやすい材料になります。
なぜ今、外資がホテル・旅館を買うのか
背景は大きく3つです。
インバウンド回復で「売上の見通しが立つ」
ホテルは需要が戻ると、稼働率だけでなく客室単価(ADR)も上げやすく、投資家が好む“読みやすい資産”になりやすいと整理されています。
円安が「割安感」と「参入の背中押し」になる
円安は、外資の新規参入や投資判断の文脈で語られることが多く、体感としても「今は買い時」と見られやすい環境が続いています。
“宿だけ”でなく「送客×運営×再投資」をセットで回せる
ここがいちばん重要です。
宿の価値は建物だけではなく、集客導線(旅行会社/SNS)と運営改善、そして改装投資で大きく伸ばせます。つまり、買い手側が“伸ばし方”を知っているほど、高値を出しやすい構図になります。
伊豆・修善寺温泉「ホテル滝亭」:送客力が温泉街の導線を変える

出典:たびすき
修善寺温泉の「ホテル滝亭」は、浙江省の企業が買収に至ったことが、静岡県の資料の中で言及されています。
同資料では、買収後に旅行会社としての強みを活かし、修善寺の観光ルート造成や中国向け広告(淘宝旅行など)を通じて、修善寺温泉街の中国での知名度向上を図っている、と説明されていますね。
この事例が示すのは、次のポイントです。
* “宿を買う”=“温泉地の入口(集客導線)も作り替える”になり得る
* 自国向けの広告・SNS・旅行会社ネットワークで、短期的に送客を増やしやすい
* 温泉街側から見ると「人は増えた」が、どこにお金が落ちるかは別問題になりやすい
※ホテル側の沿革としても、ホテル経営から始めた旨が公式サイトに記載されています。
公式HPを見ると、料理も美味しそうですね。

山梨・石和温泉:温泉街の“外資比率”が上がる現実

石和温泉さくら通りhttps:www.porta
石和温泉(いわさおんせん)では、外資による買収が「点」ではなく「面」になっていることが報道で語られています。
FNNの取材では、市の担当者が「把握しているだけで約10軒くらい」と述べ、さらに“外国企業オーナーは温泉街全体の約4分の1程度では”との推測も紹介されています。
石和温泉の特徴は、次のように整理できます。
* 気づけば外資比率が上がっている(個別の買収が積み上がる)
* 組合に入らない施設もあり、地域側が実態を把握しづらいという課題が出やすい
* 送客・運営の仕組みが変わると、温泉街の“回遊”が変化する(館内完結、バス導線など)
「日本企業より外国企業が高く買う」はなぜ起きる?
この記事のテーマの核である「売却は日本企業より、外国企業に高く買われている」という点。
石和温泉のニュースでは象徴的に、**「日本人の2倍は出す」**という表現で“価格差”が示されています。
この“高値”が出やすい理由は、ざっくり言えばこうです。
* 買った後に伸ばせる自信がある(送客網・SNS・運営オペレーション)
* 改装投資も込みで回収計画を描ける(不動産+事業再生の発想)
* 国内側は、地域事情やリスク(老朽化、人手不足、季節変動)を織り込みすぎて慎重になり、結果として買値が伸びにくいケースがある
もちろん全てがそうとは限りませんが、「高く買える構造」を持つ買い手が現れたこと自体が、地方宿の売買を加速させています。
今後さらに増える?──増える可能性は高い
結論から言うと、増える可能性は高いでしょう。
* ホテル投資が積み上がっていることが、市場レポート等で報じられている
* 訪日客回復・ADR上昇・円安などを背景に、ホテルが注目される流れが整理されている
* 現場の取材でも、石和温泉のように“増加傾向”が示唆されている
要は、「観光需要がある」「売り物件が出る」「高値提示できる買い手がいる」地域ほど、同じことが連鎖します。
地域にとってのメリット/デメリット
ここは賛否が割れがちなので、フラットに整理します。
メリット
* 廃業回避・雇用維持:施設が閉じずに残る可能性が上がる
* 改装・再投資:老朽化した宿の刷新が進む
* 送客導線の持ち込み:滝亭のように、買い手が旅行会社機能や広告運用を持つと回復が早い
デメリット(摩擦ポイント)
* 温泉街にお金が落ちにくい動線が強まる可能性(館内完結、団体導線など)
* 地域連携の弱体化:組合未加盟などで把握が難しくなると、まち全体の調整が効きにくい
* 運営文化のギャップ:人材・接客・ルールの“暗黙知”が崩れると、地域の魅力が損なわれる恐れもある
まとめ:温泉街が守るべきもの、変えるべきもの
伊豆の「ホテル滝亭」や石和温泉が示しているのは、こういう現実です。
* 外国資本の買収は、宿の再生と同時に、温泉街の集客導線(誰が・どこへ・どう流すか)を変える
* 「日本企業より高く買う」現象は、買い手が送客×運営×改装をセットで回せるほど起きやすい
* だからこそ、温泉街側は「外資か国内か」ではなく、地域にどう還元される設計になっているかを見極める必要がある
今後、“買われる宿”は増えます。
大事なのは、その先に「温泉街として何が残るか」。宿が残るだけでなく、街が生き残れる形になっているか。ここが、次の10年の分岐点です。
FAQ(よくある疑問)
Q1. 外国資本に買われたら、宿の品質は下がる?
一概には言えません。改装投資で良くなるケースもあれば、コスト最適化が先行して体験が変わるケースもあります。地域側が実態を把握しづらい状況は課題になり得ます。
Q2. なぜ温泉地が狙われやすい?
ブランド(地名)と体験価値(温泉)があり、インバウンド需要と相性が良いからです。需要回復局面では投資マネーが集まりやすい、という整理もされています。
Q3. 旅行者として気にすべき点は?
運営主体そのものより、予約導線(公式・OTA)、口コミ、館内言語対応、食事・浴場の運用が変化点です。「温泉街の回遊」が変わると、周辺店舗の活気にも影響します。


コメント