TBS系の長寿番組『アッコにおまかせ!』が、40周年を迎えたのち2026年3月で終了することが発表されました。公式には「40周年という節目での区切り」「和田アキ子本人の意向」が理由として語られていますが、ここ数年の“炎上続発”や番組フォーマットの古さが、決断の背景にあったと見る向きも少なくありません。
この記事では、「炎上が相次いだ背景」と「番組側の構造的な課題」にフォーカスして、打ち切りと受け止められる“幕引き”の真相を整理していきます。
炎上が相次ぐ背景と番組側の課題
出演者コメントが炎上しやすい構造とは?
『アッコにおまかせ!』は、生放送で時事・芸能・スポーツを“本音トーク”で切る番組です。スタジオは和田アキ子さんを中心に、芸人・タレントがフリップやVTRをネタにコメントしていく構造。テンポの良さと「ズバッと言う痛快さ」が長年の売りでした。
しかしこのスタイルは、次のような“炎上しやすさ”を抱えています。
・アドリブ比率が高い
準備された台本よりも、その場のノリや空気でコメントが生まれやすく、「言い過ぎ」「表現が雑」と受け取られるリスクが高い。
・ご意見番の一言に番組全体の評価が乗る
司会者のコメントが番組の“総意”のように受け取られ、失言と見なされた瞬間、番組そのものが批判の矢面に立つ。
・短時間で結論を求められる構成
複雑な社会問題や政治・ジェンダーのテーマであっても、数分でオチや結論を出す必要があり、ニュアンスや配慮が削られがち。
こうした構造の上に、「炎上しやすいテーマを好んで扱うワイドショー的フォーマット」が重なり、コメント一つひとつが“地雷”になりやすい環境が続いていました。
放送内容と事実確認のズレが起きる原因
2024年の東京都知事選をめぐっては、投票方法の解説コーナーで「漢字を間違えると無効」「候補者名は立候補通りに書かないといけない」といった誤った情報が放送され、後に訂正・謝罪する事態になりました。
その際、局側は「アドリブだった」と説明しましたが、選挙のような高度にセンシティブなテーマで「誰が、どの情報を、どこまでチェックしたのか」が曖昧なまま進行していたことが露呈しました。
番組制作体制の変化とチェック体制の問題点
テレビ業界全体で制作費削減・人員スリム化が進む中、長寿帯番組も例外ではありません。かつては潤沢だったリサーチ班や構成作家の人数が絞られ、若手スタッフ中心の体制に移行したことで、「ベテランMCの感覚」と「現場スタッフの感覚」がズレやすい環境になっていたと指摘されています。
さらに、
* コンプライアンス部門による事前チェックはあるが、生放送でのアドリブまでは管理しにくい
* ネタ選定の段階で「話題性」や「炎上しそうな切り口」を重視すると、結果としてリスクの高いテーマが増える
* 長年続いた“お約束”のノリ(毒舌・ツッコミ・いじり)が、若いスタッフには「危うい」と見えても、番組ブランドとしては簡単に変えられない
といった構造的なギャップが、炎上を招きやすい体質を温存していたと考えられます。
SNS時代で炎上が拡散しやすくなった要因
『アッコにおまかせ!』が特に炎上しやすくなったのは、「番組 → ネットニュース → SNS」という拡散ルートが完全に定着したからです。
* スポーツ紙やネットニュースが、和田アキ子さんや出演者の一言を切り取って記事化
* その見出しだけを読んだユーザーが、番組本編を見ずにX(旧Twitter)などで批判を投稿
* “批判が起きている”状態自体が再び記事化され、炎上が加速する
というサイクルが、何年も繰り返されてきました。([女子SPA!])
SNS時代の視聴者は、文脈よりも切り抜き・見出しで印象を形成する傾向が強く、発言の善し悪しにかかわらず、「燃えやすい番組」「また問題発言をした」というイメージが固定されていったのです。
長寿番組として抱える体制疲労とは?
40年続いた長寿番組は、それ自体がブランドである一方で、次のような“体制疲労”も抱えます。
・フォーマットの固定化
フリップと巨大パネル、ランキング形式のニュース紹介など、構成が大きく変わらないまま年月を重ね、他番組との差別化が薄れていく。
・視聴率の緩やかな低下
2020年代に入ると、全盛期と比べて視聴率の低迷が報じられ、「番組史上最低」を記録した回もあったとされています。([今日の最新芸能ゴシップニュースサイト|芸トピ])
・出演者と視聴者の世代ギャップ
MCが70代半ばとなり、若い視聴者との“生活感”や“常識”の差が広がる一方で、番組の顔を変えることはブランド毀損リスクが高く、簡単には手をつけられない。
こうした状況の中で、炎上が起きると「長年続けてきた番組をここでどうするのか」という経営判断が、よりシビアに問われるようになります。
視聴者の価値観変化に対応しきれない理由
近年の炎上の象徴とも言えるのが、パリ五輪で金メダルを獲得した北口榛花選手を「トドみたい」と表現して批判を浴びた一件です。
かつてなら「毒舌」「愛のあるいじり」と処理されていたかもしれない発言も、今の価値観では以下のように受け止められます。
* ルッキズム(容姿への偏見)への感度が高まる中で、動物に例える表現は“侮辱的”とみなされる
* アスリートへのリスペクトを欠く発言は、ファンだけでなく一般視聴者からも強く反発される
* 「大御所だから許される」文化そのものが、多くの若年層視聴者にとっては違和感の対象
実際、「若者の和田アキ子離れ」や、ご意見番としての説得力の低下を指摘する記事も出ており、番組が想定していた“視聴者像”と、実際の視聴者の価値観が乖離していたことがわかります。
“ご意見番”依存の演出が抱えるリスク
『アッコにおまかせ!』は、良くも悪くも“和田アキ子の番組”。終了報道でも、理由のひとつとして「体調問題」や年齢的な限界が語られているように、番組の存続はご意見番のコンディションと世間の評価に強く依存していました。
ご意見番依存の演出は、次のようなリスクを持ちます。
* 炎上が「個人」ではなく「番組の存在意義」まで直撃する
* 世代交代が極端に難しい
タイトルからして“アッコの番組”であり、MCを交代させるリブート案が取りづらい。結果として「終わるか続けるか」の二択になりやすい。
* 多様な意見が出にくい
スタジオの空気として「最後はアッコさんの一言で締める」構造があると、異論やマイノリティな視点を出しづらくなり、価値観のアップデートが進まない。
公式には「40周年という節目での区切り」と説明されているものの、視聴率の低迷や炎上の連鎖、ご意見番スタイルの限界、そしてMCの体調・年齢など、複数の要因が重なった結果としての“ソフトな打ち切り”と見ることもできます。
この構造的な課題は、『アッコにおまかせ!』だけでなく、今後のテレビワイドショー全体に突きつけられているテーマでもあります。
ご意見番スタイルの限界が指摘される理由
単一視点のコメントに対する違和感
「ご意見番」がスタジオの“正解”として語る構図は、長年ワイドショーの定番でしたが、今はその単一視点への違和感が目立つようになっています。
一人の強いキャラクターが
> 「私はこう思う」
> と語るだけならまだしも、その一言で議論が締めくくられ、他の出演者が空気を読んで追随する――このパターンが重なると、
* 異なる意見があっても言いづらい
* マイノリティの立場や専門的な視点が拾われにくい
* 「それって本当に多数派の感覚なの?」という疑問が残る
といったモヤモヤを、視聴者は抱きやすくなります。
SNSでさまざまな立場の人の声を見聞きできるようになった視聴者にとって、「一人のご意見だけで番組が完結する」スタイルは、どうしても古く見えてしまうのです。
多様性の時代に合わなくなった背景
ジェンダー、LGBTQ、障がい、国籍・人種、宗教観、家庭環境──
いまは、どのテーマも「多様性」を前提に語らないとすぐに齟齬が生まれる時代です。
それにもかかわらず、ご意見番スタイルは、
性別・世代・バックグラウンドが似通った顔ぶれが中心になりがち
* 「昔からの価値観」「昭和的な常識」で語る癖が抜けにくい
* マジョリティ側の視点から“代弁”してしまい、当事者の声が二の次になる
といった構造的な弱点を抱えています。
若年層に刺さらない価値観ギャップ
若い世代がテレビから離れていく理由のひとつに、価値観ギャップのしんどさがあります。
* 上から目線の説教口調
* 「昔は良かった」「最近の若者は…」というテンプレート批判
* 時代遅れなジェンダー観や、容姿いじり・メンタル軽視の発言
こうした言葉が、ご意見番スタイルの“味”として繰り返されると、10〜30代の視聴者は
「自分たちのことを理解しようとしていない」
「安全に見ていられない」
と感じやすくなります。
さらに、若年層はSNSや配信、YouTubeなどで、同世代のクリエイターがフラットな目線で語るコンテンツに慣れています。そこでは、
* 失敗も弱さも見せる
* 「自分も間違うかもしれない」という前提で話す
* 視聴者と対等な立場で一緒に考える
といったスタイルが主流になりつつありますね。
視聴者離れは本当に進んでいるのか?
視聴率データから見える推移
まず押さえておきたいのは、『アッコにおまかせ!』は「一気に大コケした」のではなく、じわじわと数字を落としていったという点です。
報道によれば、
* 2010年代〜20年代前半までは、日曜正午帯で7〜9%前後をキープしつつ、ときに10%超を記録する回もあり、同時間帯トップ争いを続けていました。
ところが2022年頃には、5%台が続き、4.6%という番組史上最低視聴率を記録したことが報じられ、「番組存亡の危機」とまで書かれています。
近年は、日曜昼の“顔”として長く1位を取ってきたものの、2位以下に甘んじる週が増え、視聴率低下傾向にあるとされました。
とはいえ、「極端な大爆死」レベルではなく、同時間帯で見れば依然として一定の数字は取っていた、と分析する記事もあります。
つまり、
* 完全に誰にも見られていないわけではない
* だが、かつての“王者”ポジションからは確実に後退していた
という微妙なラインでの“視聴者離れ”が進んでいたと見るのが妥当でしょう。
ターゲット層の変化と社会動向
視聴率の数字だけでは見えにくいのが、「誰が離れ、誰が残っていたのか」というターゲット構造の変化です。
長年、『アッコにおまかせ!』は
* 日曜昼にテレビをつける中高年層・ファミリー層
* 昔からの和田アキ子のファン
* ワイドショー的な芸能ニュースを“ながら見”したい層
に支えられてきました。
しかし社会全体を見ると、
* 共働き世帯の増加で、日曜昼のライフスタイルが多様化
* 配信サービスやYouTubeに時間を割く人が増え、「決まった時間にテレビ前」が前提ではなくなった
* ジェンダー・多様性・ハラスメントなどへの意識が高まり、「昔ながらのノリ」が受け入れられにくくなった
といった変化が進行。
この結果、
* 従来のコア視聴者(中高年層)は一定数残る
* 一方で、新規の若年層視聴者がほとんど増えない
という“横ばい〜微減”のまま、人口構成の変化に飲み込まれていった可能性が高いと考えられます。
数字の急落というより、ターゲットが一方向に偏りすぎた結果としての、静かな視聴者離れと言えるでしょう。
SNS世代のテレビ離れとの関連性
この番組の視聴者離れを語るうえで無視できないのが、SNS世代のテレビ離れとの絡みです。
SNS世代は、
* ニュースはX(旧Twitter)やまとめサイトで“要点だけ”追う
* エンタメはYouTubeや配信プラットフォームで好きな時間に見る
* テレビ番組は、フル視聴より「切り抜き」「ネットニュース記事」で把握する
といった視聴習慣が主流になっています。
その結果、『アッコにおまかせ!』についても、
1. 本編を見ない
2. ネットニュースの見出しだけで“発言内容”を知る
3. SNSで批判や賛否を眺めて終わる
近年、『行列のできる相談所』『ダウンタウンDX』など、20年以上続いた長寿番組の終了が相次いでいます。『アッコにおまかせ!』もその流れの中にあるとされ、
> 「長寿番組=安泰」ではなく、「長く続いたからこそ、思い切って畳む」
> という発想が、編成側のスタンダードになりつつあります。
総合すると、「炎上続発」「ご意見番スタイルの限界」「視聴者・スポンサー・編成サイドの事情」が積み重なった結果として、40周年を区切りに“ソフトランディング型の打ち切り”が選ばれた、という構図が見えてきます。
この「終わり方」が、今後のワイドショーや長寿番組の“出口戦略”のモデルケースのひとつになる可能性も高いでしょう。
他番組との比較から見える時代の変化
情報番組の潮流と構成の変化
『アッコにおまかせ!』がスタートした1980年代と比べると、情報番組の主流フォーマットはかなり様変わりしています。
近年のワイドショーやニュースバラエティは、
* 専門家コメンテーターを複数配置し、「司会+専門家+芸能人」の三層構造で解説する
* データやグラフ、CG、現場中継を多用し、“わかりやすい解説”を前面に出す
* テレビ朝日系『羽鳥慎一モーニングショー』のように、ニュース性と生活情報を組み合わせた“情報強め”の構成が主流
* ABEMA『ABEMA的ニュースショー』のように、地上波とネットの中間的な立ち位置で、ネット発ニュースやSNSの炎上をテーマ化する番組も増加。
といった方向に進んでいます。
一方、『アッコにおまかせ!』は最後まで、
* 「芸能ニュース+時事」をネタにスタジオのトークで笑いを取る
* フリップやVTRはあくまで“きっかけ”で、番組の中心はスタジオのノリとコメント
* 専門家よりも芸人・タレント比率が高く、「解説」より「リアクション」が前面に出る
という、1980〜90年代の王道ワイドショー的フォーマットを守り続けてきました。
この違いは、時代が進むにつれ、
> 「他番組は“ニュース解説+生活に役立つ情報”、アッコは“本音トークと芸能寄り”
> という住み分けになり、その分、一部視聴者には“古さ”として映りやすくなったとも言えます。
若者向け番組との差別化における課題
若年層向けのニュース・情報コンテンツと比べると、『アッコにおまかせ!』にはいくつかの“埋めづらいギャップ”がありました。
若者向けコンテンツは、
* ABEMAやYouTubeのニュース番組のように、同世代〜少し上くらいのMC・コメンテーターが多い
* SNS連動企画やコメント拾い、投票など、視聴者参加型の仕掛けを組み込む
* 「上から目線で教える」のではなく、“一緒に考える”“推しと語る”スタイルが主流
といった特徴を持っています。
一方で、『アッコにおまかせ!』は、
* MCが70代、スタジオもベテラン芸人中心で、視聴者とのジェネレーションギャップが大きい
* 生放送でありながら、SNSとの連動や双方向性は限定的
* 「アッコさんが最後にズバッと言う」構造が、若者には“説教っぽさ”や“距離感の遠さ”として伝わりやすい
というスタイルを維持してきました。
調査を見ると、10〜20代のニュース取得はSNSがトップであり、テレビは依然一定の利用があるものの、主役ではなくなりつつあります。
つまり、
* 若年層向け番組は「SNSやネット前提の見せ方」に寄せている
* 『アッコにおまかせ!』は「地上波だけで完結する昭和〜平成型」のまま
という差別化のズレが大きく、若者から見て“自分ごと化しづらい番組”になっていたことが、他番組との比較から浮き彫りになります。
ネットニュース台頭による影響
さらに大きいのが、ネットニュースとSNSの台頭が、テレビワイドショーの存在意義そのものを揺さぶっているという点でしょう。
こうした環境では、テレビ側には
* 単なる「情報のおさらい」ではなく、“深掘り解説”や“独自取材”を提供する
* ネットでは得られない、信頼性・俯瞰性・整理された視点を見せる
といった役割が求められます。
しかし『アッコにおまかせ!』は、
* ネットニュースと同じ芸能ネタを扱いつつ、その“切り取り方”や“いじり方”で笑いを取る
* その発言自体が、再びネットニュースで切り取られて炎上する
という、「ネットニュースにネタを提供し、同時に炎上も増幅させる」ループに巻き込まれてしまいました。([Smart FLASH/スマフラ[光文社週刊誌]])
まとめ:炎上と“時代ズレ”が招いた40年番組
『アッコにおまかせ!』をめぐる一連の流れを整理すると、単なる「打ち切り」ではなく、
“時代の変化に対応しきれなかった長寿フォーマットの、必然的な幕引き”だったことが見えてきます。これもまた、時代の流れでしょう。


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